11月に三重県津市の美杉地域の地域おこし協力隊体験会に参加してきたので、その時の感想をまとめたいと思います。
近年地域創生や田舎暮らしというキーワードから注目を浴びている地域おこし協力隊ですが、実際に現地に行って多くの気付きや地域の課題にふれることができたので、シェアしたいと思います。

今回私が参加したのは、三重県津市にある美杉地域という限界集落の体験会でした。
1泊2日で行われたもので、実際に行政、地域の方々と直接お話ができることに加え、地域全体を回って見ることができたので地域おこし協力隊に参加してみようと思っている方は必ず体験会に出たほうがいいと思います。

体験会だけでなくインターンという2週間ほど滞在し、日当も支払われるものを実施している地域もあるようなので予定が空いていて興味を持っている方はそういった制度を利用してもいいと感じます。

体験会の概要としては、行政、地域の代表の方から協力隊についてや、地域の現状や課題について説明があったあと、地域を車でまわり見ることができるというものでした。
実際の活動や協力隊として求められるものを直接聞くことができるのはもちろんですが、言葉ではなかなか表現しづらいその地域の雰囲気や行政の方々の熱意というものを直接感じ取れることが最も重要に感じました。

今回は行政と地域の方々に加え、三重県の地域おこし協力隊サポートデスク(現役の方やOBの方で構成)の方もお見えになっていたので、行政、地域の方、地域おこし協力隊の3つの立場でのリアルな意見を聞くことができたのでとても良い体験会だったと思いました。

ある程度参加前に美杉地域について調べてはいましたが、実際に現地に足を運んでみると多くの気付きがありました。

私は名古屋生まれ名古屋育ちなので、実際の田舎(親戚がいたり、行ったことは何度もあるが)を知らない身からすると、思ったより田舎だなというのが率直な感想でした。
つまり山々の合間に集落があり、かつもともと複数の村があったので美杉地域といってもさらに細かく地区で分かれていて、いまでも各地区の特徴があるというのです。

自然豊かな村、といえば印象は良いですが、見方を変えれば主だった産業もなく過疎が進んでしまうのも無理はない、という感じです。
実際高齢化率は60%を超えていて、小学生や中学生もいるものの、廃校も多く、現在は地域全体で一つの小中学校に統合されています。通学はエリアを回るスクールバスを利用しているということでした。

地域の方たちは若い人が来ているということもあり、熱烈な歓迎ムードで印象は良かったです。もちろん住んでみないと気付けない部分もあると思いますが、閉鎖的な雰囲気はあまりない地域だと思います。
ただし行政の方も繰り返し話していた、田舎特有の住民づきあいはあるようで、都会ぐらしの人には戸惑う内容のこともありそうでした。例えばプライベートのことも根掘り葉掘り聞かれるようですし、地域の活動に参加しないと色々と不便がありそうなことは起きそうな雰囲気でした。都会にいても自治会などある程度のご近所付き合いが必要なことがあると思いますが、それが数倍濃密になっているという感じしょうか。
コミュニケーションを自分から積極的に取っていかないと不都合なことは色々とありそうです。若い人からすると、そういったことが田舎の印象を悪くしている要因の一つとも思います。

今回実際に滞在してみて、限界集落はなるべくして過疎が進んでいると改めて感じました。つまり町からのアクセスが悪いため、病院や学校がない、買い物するところもない(美杉地域もいわゆるスーパーはありませんでした)、唯一コンビニストアが一つ、もちろん娯楽施設はありません。生活に便利どころか、圧倒的に不便なのです。そこに住んでいる人でさえそう話していたので、移住となると相当な覚悟をもつ必要があります。もちろん車で30分ほど走ればおおよそのものは揃うので、車が運転できればそこまででもないと個人的には思いますが…

そして最も厳しいなと感じるのは、働くところがないということです。
つまり収入を得ることができる産業や会社がないので、住んだとしても結局町に出る必要が出てきてしまいます。

地域おこし協力隊は最大で3年間行政から給料が出るという、田舎暮らしをしたい人にはとてもありがたい制度ですが結局3年後仕事をどうするのかというビジョンを持っていないと、定住には至らないと感じます。
制度上は3年の間で、起業もしく就業してね、というものですがほとんどの人にとって事業を始めるなんて簡単なことではありません。そもそも田舎に会社があまりないということ自体が、その地域での起業がいかに難しいかを物語っています。
本当に人に移住してきてほしい、定住してほしいと行政が考えているのであれば、その部分の支援を手厚くする必要があると思います。

ただし見方を変えればライバルとなる企業もないわけですし、新たな技術やアイデアを持ち込んで自由に始めることができるとも言えるわけです。
その地域での課題をしっかりと理解していれば非常に可能性があると思います。

地域おこし協力隊についてもっと知りたい方や、私の活動に興味を持っていただけた方はぜひお気軽にお問い合わせください。地域と共に新しい未来を創るために、一緒にアイデアを共有できることを楽しみにしています!